模型製作の仕上がりに大きく影響する下地作りにあたり塗装剥がしは重要な工程ですが、ABS樹脂に塗装/印刷されたNゲージ マスプロ製品の塗装をアクリル塗料用シンナー等で落としていたら、ボディー(ABS樹脂)にヒビが入ってしまった… なんてケースを経験したことはありませんか? 現在マスプロ製品の多くがABS樹脂を使用しておりますが、これはシンナーに非常に弱く、簡単に割れて(崩壊)してしまいます。 そこで、『極力樹脂に影響しないもので剥離できないか』と様々実験を行った結果、有用な方法の一つとして、イソプロピルアルコール (イソプロパノール・IPA とも言う)を使って塗装を落とす事に行き着きました。 さらに、副産物としてシンナーでは落ちないものも剥離 出来たりと、樹脂がABSでなくとも有用な場合もあるようです。 以下にイソプロピルアルコール(以下IPAと略します)を使うメリットや留意点などをまとめてみました。 また、漂白剤についてはプラにメッキ処理された〜例えばTOMIX209系用クーラーなどに絶大な効果があります。 |
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| <IPA〜自動車水抜き剤> このIPAを使用するにあたり、ポイントとなった点に”自動車水抜き剤”での代用が挙げられます。 通常IPAを購入/入手する際は、薬局等にて〜が一般的ですが、その場に在庫が無かったり、成分を保障する為に高価であったり、 あっても成分が100%若しくはそれに近いものでは無かったりと少々煩わしいものでした。 しかし、自動車水抜き剤の成分がほぼIPAで出来ている事に気付き、これならカーショップやガソリンスタンド、ホームセンター、一部の 100円ショップにも置いてあるので入手が簡単且つ安価、煩わしさも無く手頃に使用出来るのではないかと思った次第です。 <効果/対樹脂特性> では肝心の効果と言うと、シンナー(溶剤)による剥離と比べ相対的に時間が掛かります。 落ち易いものは数時間〜落ち難いものは 一週〜数ヶ月単位(ここまで来ると落ちるとは言わない??)で、正直なところものによって効果は様々です。 同じ製品でもロットや色によっても効果がまちまちであったり、例えABS樹脂であっても割れてしまったり樹脂の染色が落ちてしまったり と、ABSに対して全く影響が無い訳ではありません。 乱暴な言い方をすると、試してみないと判らない部分が多いのが現状です。 しかし一つ確実に言える事は、シンナーに比べ格段に影響が少なく、経験上塗装剥離にかなり有用である事は確かです。 また、IPAはシンナー(溶剤)とは異質のプロセスによって塗装を剥離する事により、シンナーでは落ちなかったものにも効果があります。 シンナー(溶剤)は特性の合うものを溶かして落とす〜特性が合えば効果は絶大ですが、特性が合わなければ全く反応しません。 これに対し、IPAは溶かすのではなく塗膜を崩して落とす感じで、塗膜に浸透して結合を崩せるものであれば剥離する事が可能です。 溶かして落とす〜では無い事から、直ぐに分離沈殿、再利用も安易且つ水溶性である事も相まって、使い勝手も非常に良いと言えます。 <使用感> 相対的に時間が掛かる場合が殆どですが、落ち易いものは数時間の漬け込みで効果が出て来ます。 前述の通り、メーカー/車種/色によって効果は様々、さらには同じ製品であってもロットによって効果に大きな差がある場合があります。 また、溶剤では無い為、漬け込んでおけば勝手に溶け出すと言ったケースはまず期待出来ず、ブラシ等で擦ってやる事が必須です。 |
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<剥離作業の流れ>
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<経験上の裏話> ・液温度を上げてやると効果が増す 寒い冬など液温度が低いと効果も低下、逆に液温度を上げてやると何故か効果が高くなります。 かと言って、間違っても直接火に掛けたり、まさかとは思いますが…電子レンジやオーブンに掛ける事もご法度です。 基本はアルコールですので、着火性が非常に高く、炎/火花に触れさせる事は本当に危険です。絶対やめましょう。 容器(プール)を火に掛けていないお湯に漬けるなど、よりマイルドな方法で且つ常識的な温度にて。(温めると蒸発量も多くなります) ・まっさらな新品よりも使い古したIPAの方が効果が高い これはどのような理由でそうなるのかは未だに判りませんが、経験上使い古しのIPAの方が効果が高いのは事実です。 簡単に捨てては非常に勿体無い…積極的に再利用しましょう。 あ、、たまにはゴミをろ過するなど綺麗にすると良いかも…って全然やってないけど(殴 ・漬け込み時間は余裕を持って… 効果があるものは数時間で剥離も可能ですが、奥まった部分や隅などに残ってしまう場合があります。 また、剥離出来ずに残したままにすると(特に水洗いしてしまうと)、何故かその後幾ら漬けても落ちなくなってしまう傾向もあります。 ここは少し我慢して余分に漬け込んだ方が作業性が良く仕上がりも綺麗です。 ・透明樹脂は慎重に 割れてしまった〜などのご報告を頂いている中で多いものに透明樹脂が挙げられます。 影響が少ないものも多いですが、念の為透明樹脂を漬ける際は様子を見ながら慎重に。 Bトレイン、スタートレインは自身の経験でも今のところ大丈夫、支障があったとの情報も頂いておりません。 逆にチョロQ・ワーキングビークルの一部製品、釣具のルアーなどで割れたとのご報告を頂いております。 バスコレの窓ガラスはものによってまちまちですが、8弾ネオロイヤルのガラスでは長時間漬けると白濁するようです。 この場合Mrの青ラベルシンナーでサッと落とす方が無難かも知れません。 |
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さて、ここまで読んで頂き、使用してみようかな?と思われた皆様、以下に注意点とお約束のおことわりを書いておきますので、 使用の前に必ずご一読下さい。 ・IPA〜水抜き剤の選択 水抜き剤が入手は簡単ですが、IPA99%以上ではなかったり、稀にそもそも主成分がIPAではない"水抜き剤"も散見されます。 ABSに対して影響が顕著な物質が混入されている可能性もありますので、購入の際は必ず成分表示を確認頂き、単純に"水抜き剤" としての購入にはご注意下さい。 水抜き剤である事より、IPAである事が肝心です。(99%以上など100%に近いものが理想です) また、ブランドによっては自動車整備上の誤使用を避ける為に色が付けられているものもあったり、ディーゼル車用には潤滑油を 溶け込ませているものありますので、出来れば無色透明なもので且つガソリン車用を用意すると、この用途では良いかと思います。 ・使用上の注意 成分表示にも危険等級2とありますが、IPAは浸透性・揮発性・着火性が強く、体にも有害です。 使用にあたっては、火気や火花、換気には十分配慮し、さらにゴム手を使用して皮膚からの吸収にも注意します。 浸透性が強い為、プールには必ず密閉出来るもの(タッパーやしっかり蓋の出来る瓶など)を使用して保管は火気の無い所且つ慎重に。 ・万能では無いと言う事 上でも書いておりますが、効果はものによって様々、さらに樹脂に対して影響する場合もあります。 〜とにかく試してみなければ判らない部分が多い為、使用についてはの各自の判断と責任でお願い致します。 ・必ずしもまっさらなアンデコボディーにする必要はない 例えばTomixの485系クリーム、KATO湘南色の緑などは落ち難い場合が多いようです。 2色以上のものは帯だけ剥離して重ね塗装の段差を無くす事に期待し、落ち難い下地色は諦めるなど対応も時には必要です。 落ち難いものを無理に剥離すると収拾がつかなくなり、結局落とし切れずに返って段差が出来てしまった…最悪使用不能となった ケースも経験しております。 まっさらな状態まで剥離出来れば理想ですが、ものによって臨機応変に対応すると良いかと思います。 ・ジョークもほどほどに 某掲示板などにて「温めると能率が良い」〜と言う部分について「直火に掛けると良い」などと嘘が記載されている事があります。 もちろん冗談である事は承知ですが、軽いジョークのつもりで書いたとしても、誤解される方が100%居ないとは限りません。 大袈裟ですが、最悪火災や人命にも関わりますので、例え冗談であってもこのような記載は絶対におやめください。 |
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| <参考> ・IPA=イソプロピルアルコール(イソプロパノール) (CH3)2CHOH 99%での沸点≒摂氏82度 引火点≒摂氏12度 着火した時の炎色=青(高カロリー且つ見え難い) 水溶性 主な使用用途=OA機器クリーナー/脱脂/水分と油脂の融和促進 他 ・自動車用水抜き剤(本来の目的と購入場所について) 本来の用途は、燃料タンク内に冬季の結露などで溜まった(沈殿している)水を、燃料と融和させて一緒に燃やす事により結果的に 水が抜ける事を期待するもの。 多くの場合主成分はIPAで内容量は200ml〜300mlが一般的。
・安全データシート(MSDS) 安全な使用・取扱いをする為に、物質名や分類/危険有害性/安全対策/緊急事態での対応など、詳細な情報を示した資料です。 参考までにリンクを貼っておきます。 こちら(別画面で開きます) |
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| <剥離事例他> IPAによる塗装剥離も随分定着して来た感があり、Web検索を掛けると諸掲示板や記事など幾つか出て来ます。 初めての方は様々情報収集され、その上で判断頂いて作業されると良いかと思います。 先ずは要らない物を使ってお試しを… |
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| <家庭用漂白剤〜塩素系> 一部にメッキ表現されたパーツが使われている製品が散見されますが、ギラギラし過ぎ〜玩具っぽい〜など剥離>自家塗装したい 場合に、家庭用漂白剤が大変有用、効果は上のIPAとは比較にならないほど絶大です。 塩素系と表記されているものであればどれも問題ないでしょう。 念の為、使用前に漂白剤の説明を一読して下さい。 |
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| <効果と使用事例> 効果は絶大、剥離物にもよりますが、大体5分から長くても10分程度で剥離出来てしまいます。
漂白剤剥離 参考文献:トロントロンファクトリー 車輌工場内=MicroAce215系電車グレードアップ改造の項 |
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さて、極力樹脂を侵さないように剥離する事をテーマに書いて来ましたが、他にも古くからABSリムーバー、近年Mr.PAINTREMOVER と言う液体も売られています。 しかし、ABSリムーバーは高価であったり入手方法についてもほぼ通販利用が前提であったりと 効果・入手性・価格に於いてIPAと比べたメリットが今一つ見出せない事から今では殆ど使用しません。 クレオスの柑橘系リムーバー(商品名:Mr.ペイントリムーバー)については、漬け置きが多いNゲージやバスコレへの用途では強過ぎて 樹脂を溶かしてしまう為、このページの趣旨と違ってしまうようです。 さらに、100円ショップ等には主成分にアセトンを用いたリムーバーも置いてある事がありますが、アセトン=プラ用接着剤の成分の一つ である事から、かなり強力(樹脂へも影響あり)なものである可能性があります。 使用には勇気と冒険が必要かも知れません。 ・ABS REMOVER 参考価格 : 80ml=882円 250ml=2205円 1000ml=7350円 成分=?(表示なし) 発売元 : ガンショップインディ ・Mr.ペイントリムーバー 参考価格(定価) : 110ml=600円 成分=リモネン・アルコール 発売元=GSIクレオス < 淡い期待を〜 > バスコレ改造工作を趣とする者にとって、IPAでは満足出来る結果を得られない第1弾/2弾製品は頭の痛い問題です。 Mrペイントリムーバーは樹脂を溶かしてしまうので論外として、ABS REMOVERについては例え入手が煩わしくとも〜高価であっても、 良い結果が得られるのであれば是非使いたいところです。 第3弾以降はIPAに任せるとして、第1弾/2弾製品への効果に"あわよくば"〜を期待して改めて実験してみました。
< 人柱? > 参考までに、バスコレ2弾製品をMr.ペイントリムーバーに1週間漬けて試してみた画像です。 もちろん商品の説明には漬け置き剥離は出来ない〜と謳っておりますので、誤った使用法である事を明記しておきます。
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